【ニュース】ホーチミン市などで工場労働者の採用が困難に

日本では帰国できないベトナム人が多いので、技能実習生の募集をしても最近は応募が少ないという状況にあるベトナムですが、ベトナム国内でも労働者確保が難しくなっているようです。




工場労働者の未経験者に月給500万VND(≒23,600円)+住宅&ガソリン手当が月100万VND(≒4,700円)、生産性の高い人にはボーナス500万VND(≒23,600円)を支給するという条件でも、採用数の1/3しか応募がないという状況です。





以下、Vietnam Expressの和訳文です。

ベトナム国内のCOVID-19 の流行は完全に制御され、企業の受注は増加しているが、ホーチミン市、ドンナイ省、ビンズン省では、ワーカーの採用が難しくなっている。

ビンズン省で輸出用のバッグ、リュックサックなどを製造しているVirtue King Vietnam社は、製造依頼の注文が拡大していることを受けて2000人のワーカー増員を決めた。

昨年末、この企業は自社工場の前に大規模な採用広告看板を設置し、魅力的な採用条件で通行人たちの注目を集めた。具体的には、未経験のワーカーの場合、月額約500万VNDの給与を支給し、さらにガソリン代と住宅手当として100万VNDを別途支給する。また生産性の高いワーカーに対しては、給与とは別に毎月500万VNDをボーナスとして支給する。この採用条件はかなりの好条件であるにもかかわらず、同社では現在までに予定の1/3程度のワーカーしか採用できていない。

ドンナイ省で3万5000人以上の労働者をかかえるTaekwang Vina社も、事業拡大のために2000人以上のワーカーを採用したいと考えている。

労働者を集めるために、月額給与を700万VNDとし、さらに旧正月ボーナス、正月ボーナス、祝日ボーナスなど様々な福利厚生手当を設定した。また、工場内にはワーカーの生活をサポートするために、スーパーマーケット、クリニック、託児所などが備えられている。

この様な条件にもかかわらずこの企業は、数か月に渡って採用活動をおこなっても充分な数のワーカーを確保できていない。

ホーチミン市で最大規模の労働集約型企業で6万人以上を雇用しているPou Yuen Vietnam社は、3000人近くの労働者を採用したいと考えているが、採用活動開始から4ヶ月が経っても思うような採用数に至っていない。

同社の人事部では元従業員にも復職を呼び掛けているが、復帰する人はそれほど多くない。

ビンズン省労働組合連盟からの情報によると2021年第1四半期にビンズン省全体では約600社から10万人の求人が出た。ホーチミン市労働需要予測センターによると、2021年ホーチミン市全体で約30万人の求人が出ると予測している。ドンナイ省では旧正月(テト)後に各企業から4万人の求人が出た。しかしこの3地域ではごく一部の企業しか必要な人員を確保できていない。

Virtue King Vietnam社労働組合のグエン・タン・カン組合長によると、昔はホーチミン市、ドンナイ省、ビンズン省には多くの工業団地が集中し、様々な地方から出稼ぎに来た人々もこれらの地域に集中していた。

しかし最近では、地方でも工業団地の建設が進み、地元の労働者を優先的に採用している。Virtue King Vietnamでも300人以上のワーカーが先日のテトで帰省したまま会社に戻ってこなかった。会社で調査してみたところ彼らの大部分は田舎に残って、家の近くの会社で働くことを選んでいた。

同様に、Taekwang Vina社労働組合のディン・シー・フック組合長もテト明けに400人近いワーカーが戻ってこなかったと話す。

一部の人は、都会の工場ほど給料が高くなくても、実家の近くの工場で安定した仕事に就くことを選ぶ。また、それ以外の人たちも、都会で家を借りて、COVID-19 によって、いつ失業するかもわからない不安定な生活をするよりは、田舎で農業を手伝う方が気楽だと考えている。

労働・傷病兵・社会省国際協力部のグエン・マン・クーン部長は、COVID-19 も労働者の採用が難しくなっている原因の一つだと指摘する。

COVID-19 の感染拡大により失業した多くの若者が、会社には戻らずグラブタクシー、配達ドライバー、小規模小売など非正規労働に積極的に参加するようになったのだ。

2020年ベトナム全国で約2000万人が非正規労働に従事しており、これは2019年から33万人も増加している。その内の一部は工業団地のワーカーを辞めた人たちだとみられている。

Manpower Group Vietnamのレ・ティ・キム上級役員は、一部の企業では労働力を確保するために、従業員が紹介した人を採用した場合に紹介料を支払っていると話す。しかし企業は、従業員の待遇を上げ続けることは出来ないので、これはあくまで一時的な解決策にすぎず、もっと長期的な対策としてワーカーに安定した仕事を提供することを検討すべきだと指摘する。

ベトナム労働総同盟のゴー・ズイ・ヒェウ副会長は、COVID-19 後の新しい状況下において、労働者を確保していくためには、企業は労働条件を改善し、賃金や福利厚生を適切な条件に設定していく必要があると話す。多くの地域や産業で労働力の需給バランスがとれておらず、政府は投資誘致政策、職業訓練方針、工業団地開発計画などを労働力市場に適した形に改善していく必要があるとヒェウ副会長は指摘する。

出典:07/04/2021 VNEXPRESS

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